乳がんについて

日本で急増している女性の乳がん

日本で急増している女性の乳がん現在日本人女性の罹患率が第1位なのが乳がんで、9人に1人が乳がんに罹るといわれています。40~60代の女性に多く、特に40代後半と60代前半にピークがあります。

乳がんについて

乳房とは、出産時に母乳をつくる役割をもつ臓器で、母乳をつくり運ぶ乳腺とそれを包む脂肪組織から構成されています。さらに、乳腺は母乳をつくる小葉と母乳を運ぶ乳管にわかれます。乳がんは乳腺に発生するがんで、多くは乳管に発生します。一部の乳がんは小葉から発生します。
乳がんが乳管や小葉内に留まっている状態を「非浸潤がん」、がん細胞が乳管や小葉の外に広がっている状態を「浸潤がん」といいます。
乳がんは乳房のまわりのリンパ節や他臓器(骨・肺)に転移することがあります。
乳がんの多くは、進行が比較的ゆっくりであるため、早期発見によってほとんどの場合で乳房や命を失くすことなく完治することができます。しこりが小さいうちは、触診ではわからないこともありますので、症状がなくても40代になったら定期的に乳がん検診を受けることが大切です。

乳がんのステージ

がんの進行の程度をあらわすのが“ステージ”です。ステージの決め方はがんの種類によっても異なりますが、ほとんどの場合はTNM分類という国際的な指標に基づいて決まっています。
乳がんの場合は、しこりの大きさ、リンパ節や他臓器への転移有無などによってステージが判定されます。リンパ節転移が見られる場合は、リンパ節の場所によってステージが異なります。

乳がんの病期分類(TNM分類)

他の臓器への
転移(M) 
リンパ節転移(N) しこりの大きさ(T)
しこりを
認めない
2cm
以下
2.1~
5cm
5.1cm
以上
なし なし ⅠA ⅡA ⅡB ⅡB
わきの下のリンパ節に、
可動性のある
微小転移がある
ⅠB ⅠB ⅡB ⅢA ⅢB
わきの下のリンパ節に、
可動性のある転移がある
ⅡA ⅡA
わきの下のリンパ節に、
可動性のない転移がある
または
胸骨の内側のリンパ節に
転移がある
ⅢA ⅢA ⅢA ⅢA ⅢB
わきの下のリンパ節、
胸骨の内側の両方に
転移がある
または鎖骨の下または上に
転移がある
ⅢC ⅢC ⅢC ⅢC ⅢC
あり

病期0:非浸潤がん
※しこりの大きさに関係なく、肋骨や 筋肉、皮膚などにがんが広がっている(炎症性の乳がんも含む)

乳がん検診で指摘される「石灰化」

石灰化とは、カルシウムが沈着したもので、マンモグラフィでは白い粒状にうつります。石灰化には「良性の石灰化」と「悪性の石灰化」があり、マンモグラフィでうつる石灰化のかたちや分布で良性か悪性かを区別しています。

良性の石灰化

乳腺ではカルシウムを多く含む母乳をつくっているので、母乳などの分泌液が沈殿して生じるほか、線維腺腫や嚢胞など乳腺疾患によって良性の石灰化となることがあります。

悪性の石灰化

乳がんが増殖する際に分泌物ができたり壊死をすることで石灰化ができることがあります。つまり、悪性の石灰化がある場合は、間接的に乳がんがあることを意味しています。初期の乳がんにはしこりとしては触れずにマンモグラフィでのみ石灰化を認めるものもあるため、乳がん検診においてマンモグラフィは非常に重要な検査なのです。

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乳がんリスク

乳がんの発症リスクを高める要因は、いくつかの研究によって明らかになりつつあります。しかし、実際にはそれらの要因が複雑に絡み合ってがんの発症に至るため、何が原因で乳がんになったかの確定は困難です。
以下のリスク因子にひとつでもあてはまれば乳がんになる、というわけではありませんが、乳がんが増加した背景には、食生活・女性のライフスタイルの変化があることが知られているため、リスク因子を知ることで改善すべき生活習慣、乳がん検診の重要性がわかります。

乳がんの発症リスクを高める要因

乳がんができやすい場所と症状

乳がんができやすい場所と症状乳がんは乳腺にできるため、乳腺の多い乳房外側上部に多く発生します。次に多いのが乳房内側上部・外側下部です。

乳がんの症状

  • 乳房のしこり
  • 乳頭からの分泌液
  • 乳頭の変形・陥没
  • 乳房の皮膚がくぼみ・引きつれ
  • 乳頭のただれ
  • 脇の下のしこり

などの症状がある場合は、自己判断はせずに早めに当院までご相談ください。また、しこりが小さいと無症状なことも多いので、症状が見られない場合も定期的な検査を受けることをお勧めしております。

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